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愛知淑徳大学が「感性工学」の研究・人材育成にバルコ製VRシステム「CAVE」を活用

Nagakute, Aichi, Japan - 2023

愛知淑徳大学は、地域社会で、そして世界で、積極的に学びを実践する総合大学です。「人それぞれの相互の違いと共に生きる」という理念のもと、お互いの違いを認め合いながら個性を伸ばして行くという優秀な人材の育成を目指しています。人間情報学部・感性工学専攻では、感性を重視し、人に寄り添うデザインの発想やものづくりを学び、人にやさしいシステム、ソフトウェア、情報サービス、製品、ユニバーサルデザインを取り入れた空間を創造できる人材を育成しています。

バルコの納入したソリューション
  • CAVEシステム:F80-Q7(レーザー光源プロジェクター)x 3式
  • (システムインテグレータ:電子システム株式会社)
この導入事例によって実現された主なメリット
  • 複数人が同時に没入できる点。
  • ヘッドマウントディスプレイによって視野が遮られ、実験中に事故が起こる危険性の排除。
  • 背面投影による鮮明でリアルな映像によって、VR映像のクオリティが、より現実世界に近づいた点。 

課題へのチャレンジ

同大学・人間情報学部の森博子教授は、「感性工学専攻が目指すのは、持続可能な社会の実現に必要な人材のSTEAM能力を育成・輩出すること」と語ります。同専攻が学生たちに身に付けてもらい、そして将来に渡って活躍させたい分野には、①人間の感性・ユニバーサルデザインの視点に立った効果的な情報サービスの構築と、製品や空間デザインへの活用、②AI・ビッグデータ・IoT・ロボット制御などの技術のさらなる進化・深化、③デジタル技術が適切に活用される社会に向けてそれを支えられる人材、などがあります。

また森教授は続けて、「研究室にはヘッドマウントディスプレイ(HMD)が導入されており、省スペースでシンプルな没入感を体験できる機器はありました。しかしHMDには、“周囲”から完全に切り離されてしまうという問題があります。一方、感性工学では”周囲”にこそ重要な研究要素が含まれていることが多くあります。視覚と連動した”香り”や“音”、時には“皮膚に触れた感覚”などと一緒に考えなければなりません。より実生活に近いシミュレーションは、教育においても研究においても実用的です。端的に言えば、HMDに代表される“3Dゴーグル内だけの仮想空間”から脱却して、“より現実に近づけること”が感性工学には不可欠でした。この点で、HMDには自ずと限界があったのです。克服しなければならない課題はいくつかありました。例えば、①HMDを装着した場合、 他の作業をしながらPCを操作したり、何かを運びながら実験することができないという問題です。そして、②複数人が同時に共通の「仮想空間」の映像を共有できないので、会話も途切れ、自然体で歩きながらその空間に没入することができないという問題。この点については、もはや“仮想”ではなく“妄想”に過ぎないのかもしれないという疑念さえ付きまといます。であるが故に、「現実から切り離された仮想空間」では無意味な研究を蓄積するだけではないか、という危惧がありました。また、③HMDで視界が遮られると、被験者の「目の動き」が外から見えなくなります。つまりゴーグル内の映像によって与えられる身体の動きが、“本当にリアルな反応を引き出しているかどうか”を観察することができないのです。また視界の遮断は、実験中に被験者の安全を確保するという面からも好ましくありませんでした。」

 

Barcoの「CAVE」がもたらした結果

愛知淑徳大学・人間情報学部では、新たに「感性工学専攻」を開設するに当たって、バルコ製のプロジェクション型VRシステム「CAVE」(3画面)を導入し、2023年4月より運用を開始しています。「感性工学」という研究・教育分野で「CAVE」を使用することのメリットや、どのような場面で「CAVE」が活用されているのか、森教授にお話を伺いました。

「3Dゴーグルに比べ、はるかにリアルな没入感を得られる点が“CAVE”VRシステムの最大の特長です。優秀な人材を育成して排出する意味では、非常に役立っています。 ユニバーサルデザインの観点からも、“CAVE”なら“単なる実験”から脱却して、より現実世界に近い視覚体験をもたらしてくれると期待しています。それは、年齢・性別・人種に限らず、障がい者を含む多様な人々が参加できる社会の実現に向けて、どういった環境整備が必要なのかを、より具体的に提案できるようになります。“絵本をVRコンテンツ化する際の制作手法”や、“コンテンツのあるべき姿”に応用できるなど未来像を描きやすくなると考えています」と語ってくれました。

また「CAVE」の活用による今後の研究テーマについては、①「“ユニバーサルデザインの検討”については、高齢者、障がい者、色覚の多様性などに対する安全性への配慮が必要であることの追求」、②「”待ち時間を短く感じさせてくれる色”の決定など、ストレスのない快適な環境づくりのために、どのような空間が必要かの研究、③「“どうすれば、よりインタラクティブにコンテンツを鑑賞できるか”という点では、鑑賞時の印象に着目した研究や想像力を喚起しながらコミュニケーションを取りやすくする空間の研究」、④「3Dデジタル絵本として、想像力を刺激しながら物語の世界に没入し、”単なる読書”を”楽しい体験”に昇華させるコンテンツのあり方についての研究」などと語ってくれています。

バルコのCAVE導入にとても満足しています。このシステムを用いることで、より現実の世界に近い視覚体験の下でもたらされる研究成果にこそ意味があると、学生や研究チームに奨励していきたいと思っています。

森博子教授

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